森と水との鎌田です。
私は廃棄物処理施設設置の際に求められる環境調査のことを「生活環境影響調査」と普通に話しますが、単純に考えても少し長い呼び名です。内容からいっても、道路建設や住宅団地造成などに伴う環境アセスンメントとはボリューム的にも項目数も異なります。
そのため廃棄物処理の事業者や関係者の間では、もっぱら「ミニアセス」と言われることが多いです。
私は土地区画整理事業などの面整備にかかわる環境アセスメントも随分行ってきましたので、その前段階などで行われる比較的小規模な環境調査予測評価を行うものもミニアセスと称していました。
ただ、今は、「ミニアセス」と聞かれたら廃棄物処理施設設置の際に求められるものと理解しても良いでしょう。
要は環境省の廃棄物処理施設設置申請に伴い「生活環境影響調査指針」に基づき行うものです。
しかし、生活環境=公害関係の項目とは少し違います。
環境基本法では、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる①大気汚染、②水質汚濁、③土壌汚染、④騒音、⑤振動、⑥地盤沈下、⑦悪臭が典型7公害と言われていますが、ミニアセス(生活環境影響調査)において対象となる項目は、①大気汚染、②水質汚濁、③土壌汚染、④騒音、⑤振動、⑥悪臭、⑦地下水 となっています。
施設からの排水などに伴う「水質」と分けてあえて「地下水」を項目としていることが特徴的です。
これは、最終処分場などで埋め立てした廃棄物が地下水を汚染する懸念があることから設定されたものです。また、一方、「地盤沈下」については、一つの事業場で調査し、評価あるいは対策することが難しい項目であるため、ミニアセスからは除かれています。
もちろん該当する施設がそのような影響の可能性がある場合は、事業主として調査対象とすることが賢明でしょう。
また、廃棄物処理施設であっても、最終処分場や焼却施設のように環境への負荷が大きな事業は自治体の条例などで別途、環境アセスメントが求められ、その場合は、動植物や景観なども含めた自然環境に関わる調査予測評価も必要となります。
産業廃棄物処理施設の中で最も施設数が多い破砕処理施設や汚泥処理施設などの場合は、ミニアセス(生活環境影響調査)を行うということになります。
しかし「ミニアセス」とは言っても、少し精度が低い、簡単だろう、ということではありません。
項目数は確かに限定されますが、周辺や近隣に住居あるいは集落が存在するような場合は、入念な調査予測評価が求められます。
言わば廃棄物処理施設の宿命かもしれません。一般の市民、事業者など、廃棄物と無縁の人はいません。当然、廃棄物処理施設が求められます。しかし、廃棄物の排出はするけれど、処理施設は近くには設置しないでほしいという人のエゴが発生します。原発や沖縄の基地問題も同様な感じだろうと思います。
このような背景があり、生活環境影響調査は行政もさることがら周辺の地元住民にも納得してもらえるような内容が必要となります。
「ミニアセス」、ご理解頂きましたか?
なんとも抽象的な表現ですので、あいまいさは残りますが、現在はこのように使われています。
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