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広域防災拠点の整備について思うこと

· 宮城県,地域防災,地域の安全性,活断層

森と水との鎌田です。

今日は、宮城県の広域防災拠点整備について少し思うところを掲載します。

大災害時に一つの自治体のみで応急、復旧作業にあたることは大変難しい話しです。

そのため、広域的な自治体間で応援協定の締結や広域的な防災拠点の整備は必要だと思います。

ただ、以前から思っていましたが、今回、近畿地方で活断層を震源とする地震が発生し、改めて私の住む宮城県の広域防災拠点の整備について考えてみました。

既に計画は宮城県の大規模事業評価において、平成25年に「宮城野原広域防災拠点整備事業」として妥当とされています。

今更の話しになると思いますが、やはりおかしな話しです。

図は、上が宮城県広域防災拠点整備基本計画に示された広域防災拠点整備計画図で、下が計画地に隣接して存在する活断層「長町‐利府断層」の位置図です。

どなたにもわかるように活断層の直近での計画です。

少し前になりますが、平成25 年7 月の宮城県の開催した「第2 回宮城県広域防災拠点整備検討会議 議事録」を見ると、東北大学教授(医療系)や委員長からの質疑に対し、県は「発生確率は非常に低いこともあり、防災拠点の整備の際には耐震・免震対策をしっかりするように考えている。県庁との情報アクセスも確保できるよう整備していきたい。」、「想定される宮城県沖地震や長町-利府線断層帯による地震も考慮した上で、主要な施設については適切な耐震対策を行うほか,地盤の安全性についても確保する。」と回答して会議は終了しています。

さらにパブリックコメントの中には、「計画地内に活断層 長町-利府断層帯 があり,これに由来する災害時には広域防災拠点の使用が困難となる」という指摘があり、それに対しても「長町-利府断層帯については、国土地理院の資料では、活断層があるというだけでは直ちに危険とは言えないとされており、防災センターや資機材倉庫等の耐震設計を行うことによって対処する。」と回答しています。

計画地は、確かに付近に自衛隊駐屯地や広大な陸上競技場、医療センターの立地等があり、連携した活動もでき、広域避難場所としての活用やボランティアやライフライン復旧関連事業者の活動拠点等となる可能性はあると思います。

ただし、それは地理的・自然的にも安全な場所であるということが、本来大前提だろうと考えます。

もちろん活断層が存在するからといって今すぐに直下型の地震が起き大災害となるということはないと信じます。ただ、震災以降の昨今の日本列島の状況を考えると、誰もが「起きることは無い」と論理的に言える人はいないでしょう。

活断層の存在を知る以前に直上に建物が建っているようなところは、できる限りの耐震性等を高めることが必要ですが、これから計画する建物は活断層の位置等を十分踏まえて進めることが当然だと思います。

しかも、現在計画進行しているものは広域防災拠点となる災害時の中枢となりうる施設なのですから。

医療センターの老朽化に伴う移転計画や現在の貨物駅の移転計画等々がタイミングとして重なり、本来最も優先されるべき計画地の安全性が二の次となり、大規模計画だけが着々と進展しているような気がしてなりません。

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