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生活環境影響調査における騒音のこと

· 生活環境影響調査,騒音,防音対策,周波数

生活環境影響調査の中でも中間処理施設の場合、最も直面することの多い環境影響項目として「騒音」があります。ただ、「騒音」と一口に言っても、なかなか具体的にわからない、騒音計で図るんだよね、苦情件数が結構多いよね、などといった程度の感想や理解が多いと思います。

騒音を受ける対象は「人」です。犬や猫ではありません。そのため、人の聴感特性に合わせた数値が求められます。犬などは人が聞こえないような音も判別できますが、それをここで考える必要はありません。それでは、人の聴感特性とはどんな感じかというと、2,000Hz4,000Hz程度の高い音に敏感で、逆に31.5Hz250Hz程度の低い周波数でやや鈍感になる傾向があります。

そして音はこのように周波数によって構成されています。雨上がりに光が波長によって分解され虹が現れるのと同じようなものです。この周波数が人の場合、約20Hz20,000Hz程度まで可聴範囲とされていますが、周波数によっては、前述のように同じ物理的な音量であっても、高めに聞こえたり、低く聞こえたりなどします。

騒音計は、このような人の聴感特性を考慮し、補正し、数値的に計測することができます。よくA特性の値などということがありますが、これはとりもなおさずこの人の聴感特性を考慮し、補正した値のことです。皆さんが「騒音レベル」と普通に言われるのはこの値です。

生活環境影響調査の中でも破砕機を設置するようなケースでは、この騒音が問題になります。

特に100dB近い騒音レベルの破砕機を敷地境界の塀のそばに配置するような場合です。皆さんも自宅のお部屋の模様替えなどする時、机や本棚などを壁際に置くことはよくあることだと思います。

廃棄物処理施設の場合も敷地を有効に活用するため、自宅の模様替えと同じように配置してしまいます。もちろん、作業効率上仕方がないということもありますが、騒音レベルの予測を敷地境界で行うと、規制基準を大きく上回ってしまったり、元より、予測するまでもなく、これでは100%基準を満足できないなと思うこともしばしばです。基準を満足していない計画は役所の審査を通過することができませんので、当然、いろいろな検討を行うことになります。

敷地境界近くにそのような施設を配置すると驚くような高さの防音壁が必要なケースもあります。

私は、施設の大きさにもよりますが、高さ10mなどという防音壁は常識はずれだと思いますので、だいたいの場合、配置の再検討をお願いします。このあたりに配置してもらえればおよそ●●dB程度になりますよ、というご説明をしてお願いしています。

計画設計が先行し、配置計画がほとんど固まった状態で生活環境影響調査を行うと、このような事態になり、再検討に要する無用な時間やコストがかかることになります。

これは、どう考えても事業主にとって不幸なことだと思います。

事業が設置申請を経て供用開始に至るまで、関係法令を順守しつつ、可能な限り時間を短縮することが私は最も大切だろうと考えています。

廃棄物処理施設における破砕機の設置事例